差別克服講座

様々な個人的または集団的属性を理由とする差別を克服するための日常的な努力の方法について考えるブログ

差別の基礎理論

反差別抵抗性について

差別克服の道において最大の障壁となるのは、反差別抵抗性という普遍的に見られる人間の心理及び行動です。 より詳しく言えば、反差別抵抗性とは、差別克服の働きかけに対して抵抗してしまうような心理及びそうした心理に基づく抵抗的行動のことをいいます。…

笑いと差別

先般終了した東京五輪の開幕直前、元お笑い芸人の関係者が20年以上前のコントでユダヤ人ホロコーストを揶揄する表現を用いていたことを理由に電撃解任されるというハプニングがありました。「空前のメダル獲得数」の呼号の前にすっかり忘却されつつあるよ…

五番目の差別か

大会前に四人もの関係者が差別関連絡みで辞任や解任に追い込まれた東京五輪で、今年5月にはセネガル人音楽家(打楽器奏者)ラティール・スィー氏ともう一人のセネガル人音楽家(弦楽器奏者)が、予定されていた開会式への出演を組織委から一方的にキャンセ…

黒&白>黄?

※本件については、誤訳によるある種のフレームアップがなされた可能性を指摘する意見もあり(末尾追記参照)、それによれば論旨が変わる可能性もあることから、記事本文をあえて読みづらい小文字表記に改訂しました。 今回は、タイトルの付け方を迷った挙句…

差別とパーソナリティ(下)

前回は、差別とパーソナリティの関わりで、気分的な差別主義と結びつきやすい傾向を持つ病的パーソナリティである自己愛性パーソナリティ障害について見ました。これに対して、確信的差別主義と結びつくようなパーソナリティがあるかどうかということが、今…

差別とパーソナリティ(上)

前回の記述の末尾で、差別的価値観の形成度合いには、確信的なものから、気分的なもの、無意識的なものまで相当な個人差がありますが、そうした個人差はいかにして生じるのかという問いを掲げました。今回はこの問題を考えてみたいと思います。 個人差と聞い…

「多様性」と「反差別」

近年、「多様性」(diversity)という用語をよく耳にするようになりました。政府や自治体の政策上にもこのような用語が散見されます。その意味するところは文脈により多少異なりますが、最大公約数的には、人の採用や人事構成に際して、特定のカテゴリーに属…

レイシストとは何か

アメリカで数々の差別的言動を繰り返す「差別王」トランプ大統領が誕生して以来、レイシスト(racist)という単語がクローズアップされています。この語は日本では「人種差別主義者」が定訳とされています。 たしかにracistの語源であるraceは「人種」ですか…

人間の定義

障碍者施設襲撃事件からひと月。この間、五輪一色報道という恒例の悪習慣がはさまったため、事件に関する報道はすっかり消え、早くも忘れられようとしている。だが、事件が社会に、さらにはひとりひとりに突きつけた問いは不変である。その問いとは、人間の…

「差別する自由」論批判

最高裁が同性婚を憲法上の権利と認めたアメリカの一部州で、結婚以外では同性愛者を差別することを合法化する対抗的差別法のような法律を制定する動きが出てきている。例えば、ミシシッピ州では州内事業者がLGBTへのサービス提供を拒否することが合法化され…

ハラスメントは差別か

ハラスメントという外来語が定着し、TVドラマのタイトルにもなる時勢である。この言葉は、セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、エイジ・ハラスメント等々、ハラスメントの要因となる事由を組み合わせて使われるので、いくらでも拡大してい…

差別の共犯関係

性別による差別、中でもその中心にある女性差別については国際的にも克服の取り組みが重ねられてきたこともあり、差別解消が最も進んでいる分野であるが、それでもその進展のレベルには国ごとに相当な格差がある。その違いはどこから生じてくるのだろうか。 …

差別の正体―劣等感

差別とは、特定の被差別特徴を持つ人ないしそのような集団を蔑視することであるから、それは何らかの優越感をベースにしているものと思われやすい。例えば、容姿差別ならば、自分の容姿に自信を持つ者が自分より容姿に劣ると見た相手を蔑視するのだろう、と…