差別と発達
エリクソンの発達段階理論は、人間が晩年まで生涯にわたって課題を伴いつつ、発達を続けるという非常に広いパースペクティブを持った「発達」の理論に立っていますから、65歳以降人生終盤の老年期にもまだ「発達」の余地があると想定されます。 老年期と言…
これまでたびたび取り上げてきたエリクソンの発達段階理論において、40歳以降60歳代中ばくらいまでは、「成年期」と呼ばれますが、これはもう少し限定すれば「壮年期」ということでしょう。俗に言う中年期です。エリクソンの発達理論は、人間が生涯にわ…
前回まで、差別とパーソナリティの関係について見ましたが、ここで、再びエリクソンの発達段階論に立ち戻ってみます。エリクソンによれば、人間の発達段階上、20歳から39歳までを「成人期」とし、ここでは「愛」が最大の発達課題となるといいます。 たし…
差別を思考する営為を導く「差別的思考回路」は思春期の頃に形成されるということを前回述べましたが、こうした思考回路だけでは、まだ不充分です。それをベースに、より意識的な差別的価値観というものが形成されて差別的行動様式が完成されます。 そのよう…
ピアジェ発達段階論によれば、12歳以降の「形式的操作段階」に入ると、人は形式的・抽象的思考操作がができるようになるといいます。つまり、これ以降本格的な「思考」と呼べる知的営為が可能となるわけですが、差別学習の観点からみれば、12歳以降はま…
誕生してから乳幼児の間はまだ差別するということを知らない人類が差別行為の第一歩を踏み出すのは何歳頃でしょうか。そうした観点からの本格的な研究自体があまり行なわれていないため断言はできませんが、自身の経験を加味した推定によれば、おおむね7~…
差別行為の基層には、事物を識別するという認知機能があります。事物の識別という認知機能は、人類以外の動物にも備わっているようですが、人類の場合は、識別した事物に価値の優劣を付けるという思考操作が加わります。このような価値序列化は人間の持つ「…
2018年は人が差別的価値観をいつどのようにして体得していくのかという大問題を課題とするという趣旨のことを宣言していながら、実行できませんでした。大きすぎる課題ではありますが、この課題は差別克服の道を考えるうえで、避けて通ることができませ…