差別克服講座

様々な個人的または集団的属性を理由とする差別を克服するための日常的な努力の方法について考えるブログ

2016-01-01から1年間の記事一覧

今年を振り返って:2016

まだいくらか日を残す今年は、差別克服の視点から注目すべき様々な出来事が起きた一年だった。最大級は7月の障碍者施設襲撃大量殺戮事件であるが、これについては事件後の記事である程度管見を述べてあるので、ここでは、諸事情からすぐにレスポンスできな…

差別王、米大統領へ!

差別王トランプが、ついに公民権法半世紀余りの歴史ある国の大統領になってしまった。世界の差別主義者たちは、欣喜雀躍していることだろう。かかる絶望的事態は、当ブログでは昨年12月の拙稿で予測し、こう述べていた。 無視されず、反響があることに気を…

怖がらない

7月の障碍者施設襲撃事件は障碍者やその家族に大きな衝撃というより恐怖を与えたようである。事件以来、外出に恐怖を感じたり、障碍児を連れていると人目が気になる、また同種施設ではセキュリティ強化、防犯訓練などの対応に追われるといった影響が出てい…

人間の定義

障碍者施設襲撃事件からひと月。この間、五輪一色報道という恒例の悪習慣がはさまったため、事件に関する報道はすっかり消え、早くも忘れられようとしている。だが、事件が社会に、さらにはひとりひとりに突きつけた問いは不変である。その問いとは、人間の…

出生前診断をめぐって(下)

昨年末、予告しておきながら保留していた出生前診断をめぐる問題について、改めて論及してみたい。前回これを取り上げたのは、ある県の教育委員が県の予算や家族の負担を理由に、出生前診断を奨励すべきかのような発言をしたことに衝撃を受けてのことであっ…

戦慄の障碍者施設襲撃事件

26日、相模原市で発生した知的障碍者施設襲撃事件は、死者数では戦後最悪の大量殺人事件と指摘されているが、問題は数ではない。障碍者だけを狙った殺戮という質の点でも、(おそらくは)世界史上初の最悪事件ではないだろうか。 報道によれば、犯人は「障…

「差別する自由」論批判

最高裁が同性婚を憲法上の権利と認めたアメリカの一部州で、結婚以外では同性愛者を差別することを合法化する対抗的差別法のような法律を制定する動きが出てきている。例えば、ミシシッピ州では州内事業者がLGBTへのサービス提供を拒否することが合法化され…

続・「合理的配慮」への危惧

熊本・大分地震では、まさに今月施行されたばかりの障碍者差別解消法がいきなり災害時の障碍者対応という難題に直面したことは不運とも言えるが、実際のところ、新法は災害対応の現場で生かされたとは言えなかったようだ。 例えば、4月26日の時事通信は、…

「合理的配慮」への危惧

今月より「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、障碍差別解消法という)が施行された。当法律は2013年に公布済みであったが、三年間の周知期間を置いての施行という触れ込みである。 この法律は、その名称どおり、障碍を理由とする差…

人工知能の差別学習

マイクロソフト社が開発した人口知能Tayがネット上で人種差別やヒトラー礼賛を学習し、発言するようになったため、運用休止に追い込まれたのは、差別克服の観点からは背筋が寒くなる「事件」であった。 この一件が明らかにしたのは、差別思想というものが…

「トランプ大統領候補」の現実味

以前、「トランプ発話を逐一報じることはかえって彼への注目と支持を強めることになる」と当ブログ記事で警告していたことが、現実のものとなりつつある。少なくとも、彼が米共和党の「大統領候補」に指名される可能性は高くなっている。 これに対し、米有力…

ヒトラー著書再版をめぐって

ドイツで長年事実上の禁書とされていたヒトラーの自伝的教条書『我が闘争』が8日、再版された。きっかけは昨年までバイエルン州が公的に管理してきた著作権が切れたためという。しかしこれは戦後ドイツにとっては大きな転換となるため、波紋を呼んでいるよ…

しばかない!

昨年は、内外で公職者・有識者等による差別発言が続いた。また民間においても、近年台頭してきたヘイトスピーチに代表されるような差別助長行為・運動が引き続き見られた。残念ながら、この傾向が今年激変するという根拠はない。 こうした動向に対して、反差…