差別克服講座

様々な個人的または集団的属性を理由とする差別を克服するための日常的な努力の方法について考えるブログ

2021-01-01から1年間の記事一覧

〈反差別〉練習帳[全訂版](連載第7回)

三 差別と言葉(続き) 命題11に関連して、差別語と区別すべきものとして、反面差別語と並び、前差別語というものがあります。 命題14: どのような文脈で用いても直接に差別語となることはないが、言外に差別的なニュアンスを含む前差別語の使用も差別…

〈反差別〉練習帳[全訂版](連載第6回)

三 差別と言葉 差別が劣等視の視線の言葉化・言説化からスタートするとすれば、差別における言葉という要素は決定的です。 おそらく世界中すべての言語の中に差別を言葉化した差別語のリストがあるでしょう。それらの差別語は公式には使うべきでない禁句とな…

〈反差別〉練習帳[全訂版](連載第5回)

二 差別の要因(続き) 差別は人間特有の美/醜の価値判断と結びついた劣等視の視線に根本要因があるということを見てきましたが、具体的な差別の発生要因は、より複雑です。 命題7:被差別者自身が自らの被差別特徴を劣等視し、自らを差別すること(自己差…

〈反差別〉練習帳[全訂版](連載第4回)

二 差別の要因 一で定義づけたような差別は、悲しむべきことに、世界中至るところでほとんど毎日のように生じていると言ってよいでしょう。差別はおよそ人間界につきものの現象なのです。いったいなぜ、人間はかくも差別を好むのでしょうか。差別の要因を探…

〈反差別〉練習帳[全訂版](連載第3回)

一 差別とは何か(続き) 前回見た「差別=劣等視」という命題から、第四に、差別とは「視線」に関わるということが導き出せます。 差別とはまず、対象たる人間を「見る」こと、そのうえでその「見た目」から優劣評価をし、劣等者に軽蔑の視線を送ることです…

〈反差別〉練習帳[全訂版](連載第2回)

理論編 一 差別とは何か 差別という語は日常になじんでいると思われますが、差別とは何かということについて突き詰めて考えられることは多くありません。 例えば、「太っている人には市民権を与えない」というような政策が提起されれば、ほとんどの人は太っ…

〈反差別〉練習帳[全訂版](連載第1回)

全訂版まえがき 本連載は、筆者が10年前に別ブログにて連載した同名の連載を、その後の考察や情勢変化、新情報等を踏まえて全面的に改訂したものです。最も大きな改訂点としては、実践編で扱う各差別事象の並び順を変え、体系的により整理した形にしたこと…

反差別抵抗性について

差別克服の道において最大の障壁となるのは、反差別抵抗性という普遍的に見られる人間の心理及び行動です。 より詳しく言えば、反差別抵抗性とは、差別克服の働きかけに対して抵抗してしまうような心理及びそうした心理に基づく抵抗的行動のことをいいます。…

「高市総理」誕生成らず、しかし・・・

昨日の自由民主党総裁選挙の結果、岸田氏が新総裁に選出されたため、「高市総理」誕生の予測は外れました。頭を丸めるべきかもしれませんが、率直に言って外れて安堵しています。トランプ氏の勝利は所詮外国の事でしたが、今回は自国の事ゆえ、他人事ではな…

心ある自由民主党員さんへの手紙

当ブログでこのような政治的な書簡を公開するのは異例であり、本来のポリシーに反することですが、今回だけの特例として掲載致します。それは、前回記事に関わって、党総裁選挙の投票まで一週間というこの時期に、心ある自由民主党員さん方にお考えいただき…

「高市総理」誕生の可能性

当講座に一つ自慢の種があるとすれば、2016年大統領選挙の党内予備選挙に立候補していたアメリカのトランプ前大統領がまだ泡沫のように思われていた頃、彼の勝利を半ば予見していたことです(拙稿)。同様に、日本における、言わば「女トランプ総理」の…

笑いと差別

先般終了した東京五輪の開幕直前、元お笑い芸人の関係者が20年以上前のコントでユダヤ人ホロコーストを揶揄する表現を用いていたことを理由に電撃解任されるというハプニングがありました。「空前のメダル獲得数」の呼号の前にすっかり忘却されつつあるよ…

五番目の差別か

大会前に四人もの関係者が差別関連絡みで辞任や解任に追い込まれた東京五輪で、今年5月にはセネガル人音楽家(打楽器奏者)ラティール・スィー氏ともう一人のセネガル人音楽家(弦楽器奏者)が、予定されていた開会式への出演を組織委から一方的にキャンセ…

差別、差別、差別、差別

今度は、ユダヤ人差別を理由とする東京五輪大会関係者「解任」である(毎日新聞速報)。大会一日前の総仕上げであろうか、これで、差別関連辞任/解任ドミノ四連発。前回も記したとおり、反差別を謳う五輪憲章(根本原則*)に照らし、これほど差別者を続々…

差別、差別、差別

女性差別、容姿差別に続き、障碍者差別と、東京五輪組織委関係者の差別理由での辞任三連発という異常事態である。2021東京五輪はパンデミック下での強行開催という悪しき前例であるとともに、差別辞任ドミノの点でも恥ずべき前例として後世に記憶される…

黒&白>黄?

※本件については、誤訳によるある種のフレームアップがなされた可能性を指摘する意見もあり(末尾追記参照)、それによれば論旨が変わる可能性もあることから、記事本文をあえて読みづらい小文字表記に改訂しました。 今回は、タイトルの付け方を迷った挙句…

非婚者差別―見えない差別

ちょうど一か月前、札幌地方裁判所が同性同士の婚姻(同性婚)を認めない現行法は法の下の平等を保障する憲法に違反するという前例のない判決を下し、反響を呼びました。この事案が最高裁判所に持ち込まれた場合どうなるのか興味深いところですが、もし最高…

画期的な「容姿差別辞任」

女性差別発言がきっかけで森喜朗会長が辞任に追い込まれた東京オリンピック・パラリンピック組織委員会で、今度は、開閉会式の企画、演出で統括役を務めるクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が女性タレント・渡辺直美氏の容姿を侮辱する発言をしたこと…

成人向け反差別教育の地平線

年末以来、成人向けの反差別教育の可能性如何という次なる問題に考えを巡らせていたところへ、オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性差別発言を批判され、辞任に追い込まれるという「事件」が起きました。ご本人は「差別的意図はなかっ…