差別克服講座

様々な個人的または集団的属性を理由とする差別を克服するための日常的な努力の方法について考えるブログ

2020-01-01から1年間の記事一覧

今年を振り返って:2020

本年も残すところあとわずかですが、今年はパンデミックに始まりパンデミックに終わるという異常な年度となってしまうようです。そうした中、差別克服という観点から今年を振り返ってみますと、何と言ってもパンデミックの渦中、国内外で大規模な差別事象が…

第Ⅱ期反差別教育の実践(下)

12歳以降の「形式的操作段階」における第Ⅱ期反差別教育を二つに区分けしたうち、おおむね15歳から18歳くらいまでの第Ⅱ期bにおける反差別教育が今回の主題になります。この年代は思春期の後期に当たる時期で、成人への橋渡しの重要な時期でもあります…

第Ⅱ期反差別教育の実践(上)

第Ⅱ期反差別教育とは、年代的に見て、おおむね12歳以降の「形式的操作段階」の時期に相応した反差別教育に当たりますが、ピアジェ発達段階論による「形式的操作段階」はかなり広範な年代をカバーするので、ここでは、この段階を第Ⅱ期aと第Ⅱ期bとに分けて…

第Ⅰ期反差別教育の実践

前回まで見た早幼児期における反差別原体験は、言わば反差別教育の準備段階のようなもので、この段階ではまだ体系化された教育は実施されません。そうした本格的な反差別教育は、おおむね6歳から7歳くらいの段階で開始されることになります。 エリクソンの…

早幼児期における反差別原体験(下)

差別には、態度によるからかいのような非言語的な形態をとるものもありますが、これはかなり子どもじみたいじめの一種であって、“本格派”の差別ほど言語的な形で表出されます。その第一歩が、辞書にすら多数掲載されているようないわゆる差別語の数々です。 …

「感染自己責任論」と差別

本題の反差別教育論から逸れますが、先月末に非常に興味深くも恐ろしい心理学的な調査結果が出されましたので、それをめぐって論じてみたいことがあります。その調査とは、心理学者の研究グループが、日・米・英・伊・中の5か国で、「COVID-19ウイルスに感染…

早幼児期における反差別原体験(上)

反差別教育は何歳から始めるべきか―。「三つ子の魂百まで」と言われるように、3歳の段階から即行で開始するべきであるということになるのでしょうか。実際のところ、それほど単純ではなさそうです。そもそも、乳幼児は「教育」の対象となり得るかが問題です…

反差別教育の方法論的基礎

前回記事から三か月近く経過しても、いまだ新型コロナウイルス:COVID-19は終息には遠いようです。そうした中で、ウイルス関連での心無い差別行為の実態も耳に入ってきます。どうやら、人類社会ではウイルス自体とともに、それをめぐる差別という言わば心の…

恐怖と差別

今年最初の「講座」となります。本来なら、前年度の考察を踏まえ、教育を通じた反差別の取り組み、すなわち反差別教育の方法論を論じるところでありましたが、折から、新型コロナウイルス:COVID-19の流行に伴い、種々の差別的な行為が見られるようですので…