差別克服講座

様々な個人的または集団的属性を理由とする差別を克服するための日常的な努力の方法について考えるブログ

心ある自由民主党員さんへの手紙

当ブログでこのような政治的な書簡を公開するのは異例であり、本来のポリシーに反することですが、今回だけの特例として掲載致します。それは、前回記事に関わって、党総裁選挙の投票まで一週間というこの時期に、心ある自由民主党員さん方にお考えいただきたいことがあるからです。
 
前回記事で、私は「高市総理」誕生の可能性について、控えめな予見を致しました。その時点では半信半疑の方もあったかもしれませんが、最近の状況を伝える各報道記事によりますと、私の予見したとおり、高市候補者がじわじわと(あるいは急速に)支持を拡大しているとのことです。
 
私は党員でも党友でもない全くの部外者ゆえ、こうした党内情勢に関する記事の真偽は判断できませんが、全く虚偽の風説とも思えません。あるいは、総裁選の投票権を持つ党員さんの中にも、高市候補者支持に傾いている方が少なからずおられるかもしれません。
 
その結果として、高市候補者が少なくとも次点以上の得票をする可能性も十分生じてきます。第一回投票で過半数を獲得すれば当然ですが、決選投票となった場合でも、勢いで高市候補者が最終的に当選する可能性はあるのではないでしょうか。問題はその後です。
 
自民党総裁内閣総理大臣ですので、本当に「高市総理」が誕生することになります。ですが、すでに海外メディアでは、高市氏が過去にヒトラー礼賛本に推薦文を寄せていた一件や、日本のナチズム政党党首と写真に納まっていた一件が報じられ、過去のネオ・ナチズム(以下、ネオナチ)との接点が一定以上の注目を集めているようです。
 
高市総裁」が総理大臣に選出されれば、海外ではこうした報道がさらに増幅し、ナチズムに反対する諸国が懸念を示す可能性は大です。とりわけ、日本の総理大臣が在任中必ず歴訪するであろう欧米諸国では、公職者がネオナチと接点を持てば、それだけで失職しかねない大スキャンダルとなります。
 
それだけに、欧米首脳がネオナチとの接点を持つ日本の総理大臣を無条件に歓迎すれば、ネオナチを容認したと受け取られ、国内で各方面から非難にさらされるおそれがあるため、対応に苦慮し、日本側に何らかの説明を求めてくるでしょう。
 
その点、高市候補者自身は「推薦文の件は記憶にない」「写真の件は不可抗力」とする釈明をされてはいますが、このような釈明は国内的にも説得力に欠け、まして国際的にはまず通用しないでしょう。これ以上の釈明ができないとなれば、欧米諸国は日本にはネオナチを容認する土壌があるとみなし、外交関係の縮小や途絶にさえ踏み切る可能性もなしとしません。
 
欧米のみならず、アジアでもイスラエルのように、ホロコーストという歴史的な経緯から強固な反ナチズムの国もありますし、第二次世界大戦ではナチスドイツと戦ったロシア、直接には戦うことはなかった中国も、標榜上は反ナチズムの立場です。こうした諸国との外交関係にもひびが入る懸念があります。
 
自民党国益を重視する党と聞いております。国益というと広い概念ですが、日本国の国際的信用あるいは国際的評価を維持することも国益の重要な内容に含むのではないでしょうか。そうだとしますと、高市候補者を自民党総裁に、従って日本国内閣総理大臣に選出することは、如上の意味での国益を損なう恐れが大です。
 
そればかりか、ネオナチとの接点を払拭できない方が党首の地位に就けば、自由民主党という党名が体現する自由や民主という理念からも遠ざかり、自民党がある種の極右政党とみなされることにもなりかねません。それによる党員離れ、さらには本年度内に必ず実施される総選挙の結果に影響する可能性も否めません。
 
部外者が党総裁選挙における投票についてあれこれ意見をさしはさむことは本来控えるべきですが、今般の総裁選挙で高市候補者が当選することは、国にとっても党にとっても大きなリスクを抱えることになるということは是非とも熟慮していただきたいのです。
 
以上、異例ではありましたが、当講座の主旨である差別克服という観点からも、今般総裁選挙の候補者中、最も懸念せざるを得ない高市候補者に関して、現時点における報道記事を前提にしつつ、簡略に管見を述べさせていただきました。いささかでも御参考になれば幸いです。