差別克服講座

様々な個人的または集団的属性を理由とする差別を克服するための日常的な努力の方法について考えるブログ

しばかない!

昨年は、内外で公職者・有識者等による差別発言が続いた。また民間においても、近年台頭してきたヘイトスピーチに代表されるような差別助長行為・運動が引き続き見られた。残念ながら、この傾向が今年激変するという根拠はない。
こうした動向に対して、反差別側もどう立ち向かうかが鋭く問われている。強硬な差別言動に対しては強硬な反差別運動で対峙・反撃するか、それとも、別の道を行くかである。
前者は近年、日本でも「しばき隊」運動のような形で発現しており、一つの潮流となりつつある。こうした方法論はオープンでわかりやすく、被差別当事者からしても気持ちが晴れるカタルシス効果も見込める利点はある。
しかし、反面、街頭で差別運動側と衝突し、警察の介入を招く事態はすでに生じているし、運動が先鋭・急進化していけば、差別運動を標的とした報復テロ的手法に行き着く危険も内包している。
また、強硬手法では差別の根源や意味を深く省察する思考過程が抜け落ちやすいため、ともすれば表層的なアンチの運動となりやすく、形式的・教条的なイベント化の危険もある。
これに対して、当ブログがそのタイトルにも標榜してきた「差別克服」は、差別に対する省察と日常的な反差別の実践を通じて、その克服を目指す非強硬的な一つの方法論でもある。
それは地味で、進みも遅い道程的な方法論であるので、当ブログがそれを象徴しているように、痛快さはなく、耳目も引かない。けれども、長い目で眺めれば、この方法こそ反差別の王道であると信ずるに足りるものである。
被差別者は、いわゆる弱者の立場に追いやられがちである。弱者は強くなることで弱さをはねのけたい衝動に駆られやすい。主として容姿差別の被差別者である筆者からして、自分を差別・侮辱してきたすべての人間をまとめて「しばいて」やりたい衝動を持たないわけではないのである。
しかし、そういう衝動を抑え、「差別克服」の道を歩んでいる。弱者は強さでなく、弱さを武器に代えて対抗する。そのほうが、勇気と忍耐を要することではないだろうか。しばかない!これを主旨として、今年も細々とながら発信を続けていこうと思う。